その日、僕は池袋に来ていた。片手にカイワレを持って。
ことの始まりは一昨日。
面識はないが、蓮さん(このサイトの人)という方とメッセってたところ
この企画の話題になった。
その際に、先方があまりに『カイワレを食べろ』『カイワレを食べろ』言ってくるので
僕は鼻くそをほじりながら だったら、アンタが食べろ! と言い返したところ。
『うん。』
・・・えー、え?ま、まじで?
『うん。』
そして、池袋へ。はぁ。
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もっていったカイワレ。実は、観賞用とは別に
携帯用としてビンの方でも育ててました。 |
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いけふくろうの前で待ち合わせをする。
事前に”貧血で倒れた”という連絡を受けていたため、顔色の悪い人を探す。
一発で見つかる。うわー、見るからに体調悪そー!・・・といった感じの人だった。
・・・こんな人に、こんな特殊なもん食わせて大丈夫なのか・・・?
そう思うと同時に、先日、一足先にカイワレを食べたかのんさんからの
『お腹壊しました』という報告が頭をよぎる。
・・・大丈夫じゃ、ないだろうなぁ・・・。
ため息と共に、居酒屋へ。(ポケットの中に正露丸をつめこんで)
居酒屋につくなり、テーブルの上にだされるカイワレビン。
塩などの調味料の隣におくと意外と違和感はない。
とか思ったのだが、注文を取りにきた店員はばっちり見ていた。
違和感は、あるようだ。僕が見慣れてしまっていただけのようだ。はぁ。
その後、カイワレの味がしっかりとわかるようにとおぼろ豆腐を選択・注文する。
豆腐が届くまでの間、ビンからカイワレを抜いていった。
思いのほかしっかりと生えている。力をこめて引き抜く。
あらわになる根っこ。ん、根っこ?なんだこれ?
なんか、すげー黒いんですけど。
しかもめちゃくちゃ髪の毛絡まってるし・・・。
ふと、隣の蓮さんの顔をみてみると。
笑顔が幾分か強張っているような。顔色も一段と悪く。
気づかないフリをする。
その後、何気ないそぶりで根っこの部分を引きちぎる。
ほら、こうすればね!大丈夫!
・・・大丈夫?
そんな不安の中、豆腐が運ばれてくる。
そして若干躊躇しながらも、おもむろに、豆腐の上に、まく。
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案外きれい。
とても髪の毛から生えたものとは思えない。 |
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ん、いける。見た目には、全く問題ない。
・・・よし、いけ!蓮さん、くえ!
とか言いませんヨ。ちゃんと僕から食べますヨ。
そして。期待と不安の中。
豆腐とカイワレを口にいれ。しっかりと。
噛む。噛む噛む。
口の中に広がる、ほのかな辛味と。ほどよい苦味。
溢れでる、後悔。
・・・あぁ、やっぱりやっちゃったよ・・・
・・・普通に美味しいよ・・・
市販のカイワレとなんの遜色もない味。
『テンパで育てたら、こうなる!』的なものは微塵もなかった。普通。いたって普通。
だから僕は食べたくなかったんデス。
期待されるような珍しいことなんて起こらないわかってたんデス。ぷすん。
その後、蓮さんにも食べてもらうが反応は全く一緒だった。
ごめんなさいね。普通で、ごめんなさいね?
普通であることを謝罪しなければないというこの状況。
何かが歪んでいるとしかいいようがないのだが、ほんと普通で、ごめんなさいね?
その後、居酒屋にて何事もなかったように酒を飲む。
カイワレなんて、なかったように酒を飲む。忘れよう。早く、忘れよう。
そして残るは、カイワレを取り去られ、ただ髪の毛がつまっているだけの小瓶。
兵どもが夢の跡。夢ってか、悪夢。
帰り際。一瞬このビンをそのまま店に置き去りにしようかと悩んだが
なんだか大騒動になりそうな予感がしたので、やめておいた。
・・・電車においてやろう・・・
なんちて。なんちて。ね?
結局、不燃物のゴミ箱に放り込んだ。
それでもやはり不審物として取り扱われてないか、心配だ。
そしてゴミ箱の中で、捨てた髪の毛が不穏な動きをしていないか、心配だ。
しかし、カイワレを食べそのビンを投げ捨てた今。
僕はいい様ない満足感と充実感にみたされて、ない。ないよ!
残ったのは、取れる気配のないやるさなさだよ!!
それに、家にはまだ観賞用のカイワレがのこっているんだよおおお!
ああああああああああああああああああああああああああああああ!
・・・・
というわけで。
最初から最後まで目的がみえず、漫然とした雰囲気にみちたこの企画。
これにて終わろうと思う。
みなさん、長らくお付き合いいただきましてありがとうございました。
===追伸===
この企画を提案・協力、そして共に実行してくださったかのんさん。
ありがとうございました。
また、試食を申し出ていただきました蓮さん。ありがとうございました。
(蓮さんのカイワレ試食レポートはこちら)
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